2017年1月11日水曜日

iPhoneの10年と日本携帯メーカーの没落

早いものでiPhone初代GSMが発表されてから10年経ったのだそうな。Twitterで流れてきた 国内6メーカー担当者が実物を見て語った「iPhoneの衝撃と本音」 という記事が泣かせてくれました。

メーカー関係者が語るエンターテインメント性とは、地図や画像の表示時に、人差し指と親指をくっつけ、画面上に置き、指を開くと、それに併せて画像も拡大表示されることを指している。

今でも「ピンチ」というカタカナ語のままだから、この概念は日本語にはなかったということなのでしょう。ベタな説明が泣かせます

日本メーカー関係者らしい視点としては、「ツメで操作ができないのでは日本の女性ユーザーには受け入れられない」(E社製品企画担当)というの指摘があった。

これは皆さんご存知のとおり大外れ。別に爪が伸びていても使えるし、日本の女性ユーザも受け入れたわけでしょ。

マナーモードにすると、カメラのシャッター音も消えてしまう。盗撮防止としてシャッター音を消せないようにしている日本市場ではあり得ない。

これも難癖レベルであり、現実には全く的はずれな指摘だったわけです。

日本のケータイは、確かに高機能ではあるが、「もしもしハイハイ」の音声電話にメール機能を載せ、インターネットに接続できるようにして、音楽を取り込み、テレビや非接触ICを後から次々に載せてきた。まさにリフォームを繰り返してきた住宅だ。

これは日本の携帯の欠点を指摘した例えで中々鋭いところをついていましたね。この記事は2007年7月。iモード等のいまでいう「ガラケー」が日本市場を席巻していた時代の話であります。

時は流れ2009年9月。日本ではiPhone 3GSが発売された直後の記事を紹介しよう。題名は 「国内に携帯8社は多すぎる」 NEC、カシオ、日立、携帯統合で海外市場へ

事業統合は、「07年~08年ごろ、携帯端末販売数が落ち込み、日本市場に閉塞感・危機感があったことから」(大武専務)検討をスタートしたという。「国内携帯メーカーは8社あるが、8社も生き残るスペースはない。合従連衡は不可欠」(大武専務)と、生き残りには国内メーカー同士の統合が必要と判断した。

すごいですね。「売れないのは国内市場が飽和したからだ。合従連衡して海外市場で勝負だ。」みたいな発想。iPhoneという黒船は、この経営陣にはどう映っていたのでしょうか...売れなくなったのは市場が求めているものを作ってなかったからだ、という視点にはなれなかったんですかね。まあ今言うのは結果論でズルなのはわかりますが...

時は流れさらに症状は悪化します。2010年4月。ドコモ、ルネサス、富士通、NEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、シャープの6社が携帯電話向けアプリケーションプラットフォームの共同開発に合意

これはドコモのプレス発表資料ですが

本取組みは、Symbian OS、Linux OSの両方に対応したメーカー4社の携帯電話に共通で搭載が可能なAP-PFの開発を目指すものです。これにより、携帯電話メーカー4社は携帯電話のアプリケーション処理における基本機能の独自開発が不要となり、開発期間の短縮や開発コスト低減が可能となるため、独自機能の開発に注力できます。
2010年というとiPhone 4が夏に発売。AndroidはHTC DesireとかNexus OneとかDroid Xとか雨後の筍みたいにどんどん発売されていた頃ですよ。そこではどういう仕掛けか知らんけど「開発期間の短縮」は実現されていたわけです。そんな中で「4社共通化を目指す」とか、スピード感が違い過ぎましたよね。

時は流れ2017年。

人工知能だのフィンテックだのイノベーションだの、相変わらずIT業界を煽る話題は多いですが、AppleとGoogleにいいようにやられてきた日本の携帯業界の「何が悪かったのか」を分析し、「どうすれば再発しないか」を経営・現場共に意識共有しておかないと、またまた「停滞の10年」を迎えるだけかもしれまs


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