すいません。タイトルは意識高い人をひっかけるための釣りです。中身はタダの与太話ですから安心してください。
サンフランシスコ~シリコンバレーベイエリアへの日本企業進出に加速がついてから久しいですが、自分の周りを観察する限りではその勢いはまだまだ続きそうです。そして実際にオフィスを探したり、あるいは駐在社員の住居を決めたりする過程で冷たい現実に突き当たる例も割とよく見かけます。
それは日本が失われた20年で忘れていた「インフレ」という現象です。
まずはこのチャートを見てください。ソースはhttps://medium.com/@mccannatron/1979-to-2015-average-rent-in-san-francisco-33aaea22de0eです。
1979年から2015年までのサンフランシスコにおける2Bedアパートの家賃です。インフレ調整済ですが、2010年から2015年の間に実に80%上昇しています。もちろんこれはドルベースでみているわけですが、円建てで見るともっともっとすごいことになります。ざっと2倍かそれ以上になってる計算です。
「それはサンフランシスコという特殊な地域だけだろう」と思われるかもしれませんが、事態はそれほど甘くありません。次に範囲を広げて家賃を見てみましょう。これは私が6月に作成したものです。家賃のソースはTruliaで平均値ではなく中間値。家賃だけで見るのは不公平なので「オフィスをパロアルトに借りた場合の通勤費用込み」で比較できるようにしました。
通勤費用はIRS(日本の国税庁に相当)が認めている通勤時のガソリン控除額を元に算出しています。1マイルあたり$0.54です。
実は家賃が最も高いのはパロアルトで、中間値が$5800。サウスベイやイーストベイに行けば多少家賃は下がりますが、通勤費用がかさんだり、渋滞によるQOL低下などが待っています。目に見えてコストを下げられるのは地の果てTracyかその向こう側になりますが、毎日5時間程度渋滞路の中で人生を過ごすことになります。
もちろん、頑張って探せば家賃の低い物件もあるでしょう。ただしそれらは申し込みが殺到しますから出向社員の引っ越しタイミングでどんぴしゃり借りられる保証はないです。つまり、家賃と通勤費用だけで毎月$4000~$5000は消えていく運命にあると思ったほうがいいです。
さらに...
単身赴任ではなく、家族帯同で出向したり、あるいは現地でお子さんが生まれたりするケースも考慮する必要があります。日本でいう保育園や幼稚園にお子さんを預ける場合は「ミルク飲ませて昼寝させる程度のサービス」でも月々$2500程度を覚悟しないといけません。
小中に関しては公立なら基本的に無料ですが、日本の補習校やら習い事に通わせるのであればそれなりに費用が発生します。ケーブルテレビやインターネットも日本に比べるとかなり高いですし、携帯も家族分持たせればそれなりの値段になります。
等などまとめると、「家族二人・車は1台」の状態で月額$8650程度が必要最小限のコストではないかと。もちろん、食っていかないと人間死にますから食費がかかってきますし、郊外に住むのなら二台めの車も用意しないといけないでしょう。
こうして考えると年収10万ドルでは全く足らず、15万ドルでもカツカツ。おそらく米国駐在で資産を切り崩していくことになります。社員を大事にしたいのなら税引き後に家賃の3倍くらい残る給料を払うべきでしょう。
「それじゃ高すぎる」と思う経営者もいるかもしれませんが、この「なんでもかんでも高い」のはITとその活用イノベーションが経済をけん引してきた結果です。そのITイノベーションを学びにシリコンバレーに人を送るのであれば「高い」などと文句を垂れている場合ではありません。むしろ日本でもこのようなインフレを起こすくらいの勢いでIT人材育成と技術移転を頑張ってほしいと思う次第です。
2017年9月7日木曜日
2017年8月28日月曜日
Alt-Right対Antifa顛末
なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか?
続・なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか?
「合法的に銃を持ち込めて」「(リベラルな)サンフランシスコ市が決定権を持たない」国立公園の一部であるCrissy FieldにてAlt Rightグループがデモ行進を行うということで警戒された8月26日でしたが、直前になってAlt Rightグループがデモ中止を宣言。代わりに同じくサンフランシスコ市内のAlamo Squareにて記者会見を行うということになりました。
すかさずカウンター側がAlamo Square近辺に集結。
結局Alt Rightはさらに記者会見会場を変更し、サンフランシスコからちょっと離れたPacificaへ。残されたカウンターは無届のまま市内をデモ行進するも、この日は特に暴力沙汰もなく平和に終了。
翌、27日日曜日。この日は別のAlt-Rightグループがバークレー市内でデモ行進を宣言。当局はデモの許可を出さず。一方でカウンターがバークレー市内に集合。Antifaとして知られる一部の過激派が暴れ始めます。この様子は地元メディアはもちろん、全国ニュースでも流れていました。
ワシントンポスト...Black-clad antifa members attack peaceful right-wing demonstrators in Berkeley (黒ずくめのAntifaが、右派の平和的デモを襲う)
英国Daily Mail...Anarchy in Berkeley: A hundred black-clad antifascists with 'no hate' signs storm rally, pepper spray leader of conservative Patriot Prayer group and clash with cops (100人規模のAntifaグループが保守派グループや警察と衝突) →写真が結構生々しいので閲覧注意。
地元局KTVU...Anarchists create menacing mood in Berkeley; 13 arrested, six injured
→カウンター(左派)の「勝利宣言」を紹介している。「我々はバークレーをヘイトグループやナチスから守った」 ただし見出しを見ればわかるように、彼らはAnarchistとして扱われている。
差別もヘイトもよくない。そんなことは当たり前。
だけど、反差別や反ヘイトが暴力を正当化することはあり得ない。
今回の件で地元の比較的リベラルなメディアをも敵に回してしまったのは失策ではなかろうか。
続・なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか?
「合法的に銃を持ち込めて」「(リベラルな)サンフランシスコ市が決定権を持たない」国立公園の一部であるCrissy FieldにてAlt Rightグループがデモ行進を行うということで警戒された8月26日でしたが、直前になってAlt Rightグループがデモ中止を宣言。代わりに同じくサンフランシスコ市内のAlamo Squareにて記者会見を行うということになりました。
すかさずカウンター側がAlamo Square近辺に集結。
結局Alt Rightはさらに記者会見会場を変更し、サンフランシスコからちょっと離れたPacificaへ。残されたカウンターは無届のまま市内をデモ行進するも、この日は特に暴力沙汰もなく平和に終了。
翌、27日日曜日。この日は別のAlt-Rightグループがバークレー市内でデモ行進を宣言。当局はデモの許可を出さず。一方でカウンターがバークレー市内に集合。Antifaとして知られる一部の過激派が暴れ始めます。この様子は地元メディアはもちろん、全国ニュースでも流れていました。
ワシントンポスト...Black-clad antifa members attack peaceful right-wing demonstrators in Berkeley (黒ずくめのAntifaが、右派の平和的デモを襲う)
英国Daily Mail...Anarchy in Berkeley: A hundred black-clad antifascists with 'no hate' signs storm rally, pepper spray leader of conservative Patriot Prayer group and clash with cops (100人規模のAntifaグループが保守派グループや警察と衝突) →写真が結構生々しいので閲覧注意。
地元局KTVU...Anarchists create menacing mood in Berkeley; 13 arrested, six injured
→カウンター(左派)の「勝利宣言」を紹介している。「我々はバークレーをヘイトグループやナチスから守った」 ただし見出しを見ればわかるように、彼らはAnarchistとして扱われている。
差別もヘイトもよくない。そんなことは当たり前。
だけど、反差別や反ヘイトが暴力を正当化することはあり得ない。
今回の件で地元の比較的リベラルなメディアをも敵に回してしまったのは失策ではなかろうか。
2017年8月24日木曜日
続・なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか?
なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか? の続編であります。言論の自由を訴えるAlt-Right主催のデモ開催まであと二日。今日はいくつかの動きがありました。
もちろん、サンフランシスコ市側は文句は言うことでしょう。実際、Ed Lee市長らは今回の主催者側を徹底的に批判しています。もし、会場をCrissy Field以外で選んでいたら、市側は安全上の理由などでデモを不許可にしていたはずです。この点においては、Alt-Right側の戦略はまずは成功したといって良いでしょう。
一方で懸念されていた銃器持ち込みについてはNational Park側が明確に「禁止する」と言ってますので、まずは一安心ではあります。ただし金属探知機を使った本格的な身体検査をするのかとか、今一つはっきりしない点は残ります。
私はむしろこのカウンター側の暴走を心配しています。三々五々的に集合しますし、特に身体検査もないわけですから暴力的なAntifaの連中が途中から入り込む可能性は排除できないし、むしろかなり高いと言えましょう。
地元ニュースではデモが開かれる土曜日は商店や飲食店を臨時休業するところが増えそうだと言ってました。
まあ平和裏にデモが終わることを祈るのみです。
上の図のZone 1はデモ会場のCrissy Fieldを含む区域。Marina側の入り口から徒歩でのみ入れる。入り口では持ち物検査をされ、武器はもちろん一定以上の大きさの持ち物は持ち込めない模様。ゴールデンゲートブリッジ側の駐車場も制限がかかる模様。観光客の皆さん、土曜日は近寄らないほうがいいよ。
Zone 2は交通制限がかかる区域。Zone 2に限らず、土曜日の市内は交通網の混乱が予想されるので自家用車はもちろん、公共交通網もあてにしないほうがよさそう。
くわしくはMuniの運行情報を参照のこと。
Feds grant permit for ‘Free Speech’ rally at Crissy Field
まずは連邦政府が今回のFree Speechデモに対して正式に「許可」を出したことを地元紙Examinerが伝えています。その理由は予想はされていましたが“We cannot deny a permit to anyone planning to exercise their First Amendment rights based on their political stance or beliefs,”政治的主張を表現する機会を奪ってはならない。たとえその主張がどんなものであれ、です。なぜなら、合衆国憲法修正一条でその権利が保障されているから。
もちろん、サンフランシスコ市側は文句は言うことでしょう。実際、Ed Lee市長らは今回の主催者側を徹底的に批判しています。もし、会場をCrissy Field以外で選んでいたら、市側は安全上の理由などでデモを不許可にしていたはずです。この点においては、Alt-Right側の戦略はまずは成功したといって良いでしょう。
一方で懸念されていた銃器持ち込みについてはNational Park側が明確に「禁止する」と言ってますので、まずは一安心ではあります。ただし金属探知機を使った本格的な身体検査をするのかとか、今一つはっきりしない点は残ります。
あちこちで開催されるカウンターのデモ
Alt-Rightのデモに反対する人たちは市内のあちこちで集会を計画しています。上記リンクに詳細が載ってますが、規模的にはCivic Centerに集合してCrissy Fieldまで歩くのが一番でかくなりそうです。私はむしろこのカウンター側の暴走を心配しています。三々五々的に集合しますし、特に身体検査もないわけですから暴力的なAntifaの連中が途中から入り込む可能性は排除できないし、むしろかなり高いと言えましょう。
地元ニュースではデモが開かれる土曜日は商店や飲食店を臨時休業するところが増えそうだと言ってました。
まあ平和裏にデモが終わることを祈るのみです。
8月24日追記
在サンフランシスコ日本総領事館から注意喚起のお知らせきました。デモに関する情報には十分注意して頂くとともに、興味本位でデモが開催される場所周辺には近づかないようにし、ご自身の安全確保に努めて頂くようお願いいたします。SF Examinerは当日の立ち入り制限区域や、公共交通網の運休などを報じています。
上の図のZone 1はデモ会場のCrissy Fieldを含む区域。Marina側の入り口から徒歩でのみ入れる。入り口では持ち物検査をされ、武器はもちろん一定以上の大きさの持ち物は持ち込めない模様。ゴールデンゲートブリッジ側の駐車場も制限がかかる模様。観光客の皆さん、土曜日は近寄らないほうがいいよ。
Zone 2は交通制限がかかる区域。Zone 2に限らず、土曜日の市内は交通網の混乱が予想されるので自家用車はもちろん、公共交通網もあてにしないほうがよさそう。
くわしくはMuniの運行情報を参照のこと。
8月25日追記
直前になって、Alt-right側が「デモ中止」を宣言しました。ただしデモの代わりに記者会見を開くと言っており、市側も警戒を解除していません。また、カウンター側はCivic CenterおよびAlamo Parkにてデモを行うとしており、Antifaの連中が騒ぎを起こす可能性は全く消えていません。またMuniの運休も解除されていないので、市内の交通は混乱が予想されます。不要不急の外出は控えるのが吉かと。2017年8月19日土曜日
なぜ白人至上主義者はデモ会場をCrissy Fieldに選んだのか?
サンフランシスコ地元紙のExaminer、8月14日記事に‘White supremacist’ patriot rally coming to San Francisco — counter-protest already plannedというのが出てました。白人至上主義者が26日土曜日にサンフランシスコ市のCrissy Fieldに集い、デモ行進を行うという内容です。
Crissy Fieldというのは
ゴールデンゲートブリッジにほど近い、上の地図にある赤丸あたりの公園です。緑の丸で示された中心街からはかなり外れた地域です。
デモ行進ならより多くの人達に見てもらえるように中心街に近い区域を選ぶのが常道ですが、なぜ彼らは人の少ない公園を選んだのでしょうか? 上記記事によればこういうことらしいです。
Crissy Fieldというのは
ゴールデンゲートブリッジにほど近い、上の地図にある赤丸あたりの公園です。緑の丸で示された中心街からはかなり外れた地域です。
デモ行進ならより多くの人達に見てもらえるように中心街に近い区域を選ぶのが常道ですが、なぜ彼らは人の少ない公園を選んだのでしょうか? 上記記事によればこういうことらしいです。
- Crissy FieldはGolden Gate National Parks Conservancyの一部であり、サンフランシスコ市の管轄ではない。デモの許認可はサンフランシスコ市ではなく、National Park Serviceが管轄となる。
- すなわち、連邦政府レベルの話。連邦政府レベルで「表現の自由」「集会の自由」を否定するようなことはまず無理
なのでデモは当然許可されてしまった。と思われる。 - さらに... 2010年のFederal Firearms Law(PDF)の定めるところにより、「National Parkには銃を持ち込める」。拳銃はもちろん、ライフルなど狙撃銃も、です。
サンフランシスコ市街ではAntifaが抵抗を訴える看板を出してるのをちらほら目撃。
おそらく衝突必須で嫌な予感しかしないのですが、もしこの日(8月26日)にゴールデンゲートブリッジでも行ってみようか、なんて考えてる人が身近にいたら「やめておけ」と伝えるのが良いでしょう。
8月19日追記:
Crissy Field集会での戦いに備えた「トレーニング」を呼びかけるカウンター側と思われる看板。これはやはり平和裏には終わりそうにないね。
8月19日追記:
Crissy Field集会での戦いに備えた「トレーニング」を呼びかけるカウンター側と思われる看板。これはやはり平和裏には終わりそうにないね。
8月22日追記:
National Park Serviceはまだデモに対する許可/不許可を保留している模様。決行/中止は金曜日に判断されるそうな。
National Park Serviceはまだデモに対する許可/不許可を保留している模様。決行/中止は金曜日に判断されるそうな。
2017年8月3日木曜日
サンフランシスコ車上荒らしを視覚化してみる
サンフランシスコの名物は「ケーブルカー」「ゴールデンゲートブリッジ」そして「車上荒らし」。とにかく車上荒らしが多いのです。
ちょっと古い記事ですが7月にはサンフランシスコ市警が急増する車上荒らしに警告を出していました。車内に物が置かれた状態で車を離れるな、という警告です。車中になにかあれば連中はあっという間に窓を割って車内から物を持っていきます。たとえ無価値であっても。盗られるものは無価値かもしれませんが、車のガラスはしっかりと修理代がかかります。
さて、どれくらいの頻度で車上荒らしが起きているのでしょうか。それを視覚化できるサイトがあります。
https://www.crimemapping.com/
期間や犯罪の種類を入力して、地図上に犯罪が起きた場所とその種類を表示できます。検索条件に
期間を絞ったのはこのサービスが一度に1000件以上の記録を表示できない仕様だからです。7月15日からの約3週間で実に942件の車上荒らしが発生しています。これは年間16000件のペースですが、2015年には年間25000件以上の車上荒らしが警察に届けられているので、上図はまだ少ない期間だったと言えましょう。
サンフランシスコの10倍大きいニューヨークも犯罪データベースを公開していますが、このデータベースを見ると車上荒らしは年間で7000件いくかいかないかの件数です。ニューヨークの1割しか人が住んでないサンフランシスコという地方都市で、ニューヨークの3~4倍も車上荒らしが起きている現状は異常といってよいでしょう。
なぜこんな状況になってしまったのかについてはまたの機会に書きます。
ちょっと古い記事ですが7月にはサンフランシスコ市警が急増する車上荒らしに警告を出していました。車内に物が置かれた状態で車を離れるな、という警告です。車中になにかあれば連中はあっという間に窓を割って車内から物を持っていきます。たとえ無価値であっても。盗られるものは無価値かもしれませんが、車のガラスはしっかりと修理代がかかります。
さて、どれくらいの頻度で車上荒らしが起きているのでしょうか。それを視覚化できるサイトがあります。
https://www.crimemapping.com/
期間や犯罪の種類を入力して、地図上に犯罪が起きた場所とその種類を表示できます。検索条件に
- What...Vehicle Break-in/Theft
- When...07/15/2017~08/02/2017
を指定してみました。
サンフランシスコで発生した車上荒らし・7/15~8/2 |
期間を絞ったのはこのサービスが一度に1000件以上の記録を表示できない仕様だからです。7月15日からの約3週間で実に942件の車上荒らしが発生しています。これは年間16000件のペースですが、2015年には年間25000件以上の車上荒らしが警察に届けられているので、上図はまだ少ない期間だったと言えましょう。
サンフランシスコの10倍大きいニューヨークも犯罪データベースを公開していますが、このデータベースを見ると車上荒らしは年間で7000件いくかいかないかの件数です。ニューヨークの1割しか人が住んでないサンフランシスコという地方都市で、ニューヨークの3~4倍も車上荒らしが起きている現状は異常といってよいでしょう。
なぜこんな状況になってしまったのかについてはまたの機会に書きます。
2017年8月2日水曜日
サンフランシスコの低所得者用賃貸住宅に申し込みが殺到
もう語りつくされた感がありますが、サンフランシスコの賃貸住宅は需給がひっ迫しており、家賃がとんでもないことになっております。
上のチャートはRent Jungleによるサンフランシスコの家賃平均です。2017年6月の数字だそうです。
ここでいう「低所得者」とはその地区の世帯収入中間値(Median)の85%以下しか収入がない世帯をさします。このAffordable Housingへの申し込みが殺到しているという記事が本日の地元紙San Francisco Examinerに掲載されていました。
サンフランシスコの家賃平均値 ソース rentjungle |
- 1ベッドルーム家賃平均=$3500 (38万5000円程度)
- 2ベッドルーム家賃平均=$4637 (51万円程度)
- すべての家賃平均=$3803 (41万8000円程度)
ここでいう「低所得者」とはその地区の世帯収入中間値(Median)の85%以下しか収入がない世帯をさします。このAffordable Housingへの申し込みが殺到しているという記事が本日の地元紙San Francisco Examinerに掲載されていました。
- 1751 Carroll Aveに建設されたアパートのAffordable Housingは120件。申込は4126件。競争率30倍。
- 72 Townsendに建設されたアパートのAffordable housingは7件。申込は300件以上! 競争率は43倍以上!!
「低所得」といっても年収$71000ドルまでは申し込めるそうです。ざっと780万円。そして家賃が収入の40%は越えないように抑えられているということなので、おそらくは$2350程度が賃料ではないかと。ざっと26万円ですね。
ということでまとめますと...
「年収780万円クラスの世帯が、家賃26万の賃貸物件に『安い!』と叫んで抽選覚悟で申し込みする」
というのが今のサンフランシスコの状況なわけです。狂ってますね...
2017年8月1日火曜日
サンフランシスコ名物ケーブルカー・私服捜査官による乗車料金徴収調査
サンフランシスコ名物のケーブルカー。本日の地元紙Examinerは、ケーブルカーにおける料金徴収について報じています。
観光で乗る人は始発駅で事前に料金を払うことが多いかと思いますが、途中から乗ることももちろん可能です。その場合、現金で車掌に払うか、日本のSuicaを思いっきりダサくしたClipperカードで払うことになります。
今回問題となっているのはこの途中乗車した人達からの現金徴収のありかたで「そもそもちゃんと徴収しているのか?」「徴収したお金を車掌がネコババしてないか?」というあたりに私服捜査員による監査が入ったそうです。結果は...
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サンフランシスコ名物のケーブルカー・Powell線 |
今回問題となっているのはこの途中乗車した人達からの現金徴収のありかたで「そもそもちゃんと徴収しているのか?」「徴収したお金を車掌がネコババしてないか?」というあたりに私服捜査員による監査が入ったそうです。結果は...
- 路線によっては3割以上の確率で徴収しない
- 徴収してもレシートを発行しない(=車掌がネコババ)
という状況なようです。自分は地元民なので知ってたけど。
記事によればケーブルカーの売り上げは年間1000万ドル(11億円)で、その3割は現金で払われるとか。その現金支払の1割をネコババすれば30万ドル(3300万円)ですから車掌がそういう悪いことを考える可能性は排除できないでしょう。
実際、記事では監査中に数名の車掌が横領容疑で逮捕されたと報じられています。
とはいうものの、観光客が圧倒的に多いケーブルカーではキャッシュレスにすることは困難でしょうから、今後もこの「ゆるい」仕組みは生き続けるのではないでしょうか。
参考
- ケーブルカー料金(2017/8時点)...$7
- 4歳以下は無料
- 老人と身障者は深夜・早朝のみ割引あり
2017年7月28日金曜日
サンフランシスコ市レイプ犯罪事情
サンフランシスコ市が誇る無料紙のExaminer。今日の紙版一面は「Crime Spike Blamed on Nightlife」という見出しです。オンライン版だとSFPD partly blames rape increase on city’s nightlifeという題名で、こっちのほうがわかりやすいですね。
そう。サンフランシスコ市でレイプ犯罪が増えており、ナイトライフを楽しむ人たちが増えたのも原因の一端とサンフランシスコ市警察は説明している、というものです。
ショッキングな見出しではありますが、警察に届けられたレイプ犯罪件数は
そう。サンフランシスコ市でレイプ犯罪が増えており、ナイトライフを楽しむ人たちが増えたのも原因の一端とサンフランシスコ市警察は説明している、というものです。
ショッキングな見出しではありますが、警察に届けられたレイプ犯罪件数は
- 2016年通年で429件
- 2017年上半期で223件
ということです。
サンフランシスコは人口90万人弱の地方都市です。90万人あたりで年間429件のレイプ犯罪が起きるということは、東京都の1300万人に換算すると年間6200件。確かに多い気はします。
サンフランシスコは人口90万人弱の地方都市です。90万人あたりで年間429件のレイプ犯罪が起きるということは、東京都の1300万人に換算すると年間6200件。確かに多い気はします。
さて記事に戻りまして、この上半期での223件というのは確かに昨年と比べて増えていますが誤差範囲にも見えます。記事で注目されてるのはNorthern Station管轄での発生件数で、20件。これはHayes ValleyからMarinaにかけての比較的安全といわれる地域で、PolkやDivisadero、あるいはHayesなど深夜まで営業するバーやクラブが多い通りを含んでいます。(ただし現在の市条例で飲み屋は2時まで)
とはいうものの、この微増をすべてナイトライフの変化に求めるのも無理がありそうです。実際記事ではバーやクラブ側の反論もでてまして、一体この記事は何が言いたいのか??と叫びたくなる内容でした。
一方で興味深い数字も読み取れました。
それはサンフランシスコではレイプ事件の立件が極めて難しい、ということです。429件の被害者のほとんどは加害者と知り合いで、それは同僚や学友であったり、出会い系アプリで知り合った仲だったり様々なようですが、見ず知らずの相手をいきなり襲うような事件はほとんどない、ということですね。
その結果、検察が加害者を起訴に持ち込むことが極めて難しくなるそうです。知り合い同士が二人きりになった以上、その過程で同意がなかったということを実証することはまず無理、と。
2016年に届けられた429件のレイプ事件のうち、起訴に持ち込まれたのはたったの11件。
429件のうち、11件です。たったの2.5%。
これだと多少のリスクを負って、レイプを試みる不届き物が増えてもしかたない気はします。
これだと多少のリスクを負って、レイプを試みる不届き物が増えてもしかたない気はします。
ということで、サンフランシスコ市で二人っきりで飲みに行くときには気を付けろってことですね。そしてここはサンフランシスコ。レイプ犯罪の被害者が女性とは限らないことにも注意したいです。
サンフランシスコ電気自動車事情・電気自動車がこの先生きのこるには? Part-I
こんばんは。以前は68年式Big BlockのV8エンジン搭載車などに乗っておりましたが2015年より意識高いサンフランシスコ市民()らしく電気自動車に乗り換えました。BMWのi3であります。
ありがたいことに市内の公共駐車場にはChargepoint社の充電ステーションが設置されておりまして、自宅に駐車スペースがない我が家でも電気自動車の恩恵を受けることができます。
が...
昨今の電気自動車普及に伴い、この公共充電ステーションは取り合いに近い状態であります。一応、一回の利用は最大4時間までという標識が張られているのですが、TeslaのSとかXみたいなバッテリーの化け物みたいなのが陣取ると一晩占有、なんてことも珍しくありません。
こちらの記事→Electric cars in SF by the numbersによれば、サンフランシスコ市で登録されている自動車42万5000台のうち、おおよそ5000台が電気自動車とのことです。ざっと1%ですね。
一方の充電ステーションですが、大手ChargePoint社が市内中心部にざっと270台設置しています。他系列(evGOやVolta)を入れても350台程度でしょうか。
電気自動車がざっと1%普及した現状で、公共の充電ステーションが不足気味なわけですから、今後電気自動車がさらに普及するのであれば充電ステーションをもっともっと増やす必要があります。
「充電ステーションの高速化」が意味することは単純で「より短い時間でより多くの電力を電池に送り込む」ことに他なりません。現在市内あちこちに設置されているJ1722が240Vで80A。ピンと来ない人は家庭用エアコン4台分くらいだと思ってください。でもこんなレベルじゃ全然足らんのです。
上記写真は割と最近設置された高速充電ステーションです。CCSとCHAdeMOが同一筐体に収まってるタイプなのですが、左側の数字に注目。500Vの125Aです。(計算合わないけど)50KWとなってますね。家庭用エアコン10台分だと思ってください。これでも2015年式BMW i3のバッテリ(22kWh)を80%充電するのに20分かかります。
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意識の低かったころ乗ってた車 |
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意識高め(右) |
ありがたいことに市内の公共駐車場にはChargepoint社の充電ステーションが設置されておりまして、自宅に駐車スペースがない我が家でも電気自動車の恩恵を受けることができます。
が...
昨今の電気自動車普及に伴い、この公共充電ステーションは取り合いに近い状態であります。一応、一回の利用は最大4時間までという標識が張られているのですが、TeslaのSとかXみたいなバッテリーの化け物みたいなのが陣取ると一晩占有、なんてことも珍しくありません。
こちらの記事→Electric cars in SF by the numbersによれば、サンフランシスコ市で登録されている自動車42万5000台のうち、おおよそ5000台が電気自動車とのことです。ざっと1%ですね。
一方の充電ステーションですが、大手ChargePoint社が市内中心部にざっと270台設置しています。他系列(evGOやVolta)を入れても350台程度でしょうか。
電気自動車がざっと1%普及した現状で、公共の充電ステーションが不足気味なわけですから、今後電気自動車がさらに普及するのであれば充電ステーションをもっともっと増やす必要があります。
ChargePoint社の充電ステーション設置台数
サンフランシスコは公共充電ステーション設置では先進的な取り組みをしてきたほうでして、上記地図にあるステーションのほとんどは設置後数年経過しています。老朽化、といってもいいでしょう。設置した当時は最先端だったであろうSAE J1722(19.2kW)も、昨今のバッテリー大容量化に伴い力不足は否めません。すなわち「充電ステーションの容量不足」→「充電に時間がかかる」→「充電ステーションの占有時間が増える」→「充電ステーションが足らない」という悪循環です。これを解決するには「充電ステーションの高速化」と「充電ステーションの台数増加」を並行して進める必要があります。「充電ステーションの高速化」が意味することは単純で「より短い時間でより多くの電力を電池に送り込む」ことに他なりません。現在市内あちこちに設置されているJ1722が240Vで80A。ピンと来ない人は家庭用エアコン4台分くらいだと思ってください。でもこんなレベルじゃ全然足らんのです。
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DC Fast (CCS) |
私は電気自動車普及のカギを握る本命充電ステーションはChargePoint社のCPE250(写真)のような「450KW」級だと予想していますが、これだと家庭用エアコン115台分というモンスターとなります。これくらいの代物が、現在のガソリンスタンドのポンプを置き換えていく、というのが電気自動車普及の意味することであります。10ポンプのガソリンスタンドなら家庭用エアコン1150台分。ちょっとした高層マンション並の電力消費量となります。送電網に与える影響も大きいですし、原発の大規模増設までを含む社会的インパクトが生じることでしょう。
次回は電気自動車の電池について思うところを書きます。
追記: Part-IIを公開しました。(2017/7/31)
次回は電気自動車の電池について思うところを書きます。
追記: Part-IIを公開しました。(2017/7/31)
2017年7月25日火曜日
テロリスト? ただの妄想? サンフランシスコで1万人殺害を目論んだ若者が逮捕される
ソース: ABC7 NewsのOakland man allegedly planned Bay Area terror attacks
昨年暮れにIdentity Theft(個人情報窃盗)で逮捕されたオークランド在住の若者が「ISISのためにサンフランシスコで1万人殺害のテロを計画していた」とのこと。容疑者はカリフォルニア生まれのオークランド育ち、Amer Alhaggagi(22歳)で、FBIの囮捜査にかかった模様。具体的には以下のような話をISIS支援者を装ったFBI捜査員に対して話したり、準備している道具を見せたりしたとのこと
また、同容疑者はオークランド警察への就職を試みており、爆弾を自作できなかった場合にはオークランド警察から武器を調達し「テロを再定義する」と囮捜査官に語っていた。幸いなことにFBIからオークランド警察に連絡があり、警官として採用されることはなかった。
逮捕するまで、FBIは4カ月に渡ってAmer Alhaggagi容疑者とコンタクトを取っていたという。同容疑者が本当にこんな計画を実行しようとしていたのなら、FBIはよい仕事をしたといってよかろう。
※同容疑者は2016年11月に逮捕されている。FBIはその4カ月前から動いているのでトランプ政権とは関係なく粛々と仕事をしていたわけ。
昨年暮れにIdentity Theft(個人情報窃盗)で逮捕されたオークランド在住の若者が「ISISのためにサンフランシスコで1万人殺害のテロを計画していた」とのこと。容疑者はカリフォルニア生まれのオークランド育ち、Amer Alhaggagi(22歳)で、FBIの囮捜査にかかった模様。具体的には以下のような話をISIS支援者を装ったFBI捜査員に対して話したり、準備している道具を見せたりしたとのこと
- サンフランシスコのクラブにて毒薬(殺鼠剤)入りコカインを配布する計画
- バークレーヒルに大規模な放火をするという構想
- ISIS謹製爆薬作成マニュアルをダウンロードしてFBI囮捜査官に見せる
- 入手したという銃の写真を捜査官に見せる
- サンフランシスコのゲイクラブに爆弾をしかける計画を捜査官に披露
- UCバークレーの寮をバックパック爆弾で破壊する計画を、現地でISIS支援者を装った囮捜査官に披露。爆弾をいれるためのバックパックを3つ持参していたという。
また、同容疑者はオークランド警察への就職を試みており、爆弾を自作できなかった場合にはオークランド警察から武器を調達し「テロを再定義する」と囮捜査官に語っていた。幸いなことにFBIからオークランド警察に連絡があり、警官として採用されることはなかった。
逮捕するまで、FBIは4カ月に渡ってAmer Alhaggagi容疑者とコンタクトを取っていたという。同容疑者が本当にこんな計画を実行しようとしていたのなら、FBIはよい仕事をしたといってよかろう。
※同容疑者は2016年11月に逮捕されている。FBIはその4カ月前から動いているのでトランプ政権とは関係なく粛々と仕事をしていたわけ。
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