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2017年9月1日金曜日

トランプ大統領に追い風か

早いもので8月も終わり。トランプ大統領が就任してから7カ月が過ぎたということになります。一方で、2018年の中間選挙まであと1年2カ月しかない、ということでもあります。中間選挙では下院435議席すべてと、上院100議席のうちの33議席が有権者の信任を仰ぐことになります。

そして、この中間選挙に向けた動きはすでに始まっており、トランプ大統領に追い風となるのでは、という与太話を書いてみたいと思います。

ダイアンファインシュタイン上院議員による「トランプ擁護」


一つ目は、サンフランシスコに地盤を持つ民主党重鎮、ダイアンファインシュタイン上院議員の動きです。(彼女はかつてサンフランシスコ市長を務めたこともあるそうです) 29日に地元サンフランシスコで開かれた公開インタビューで「トランプ大統領の弾劾はあるのか?」と聞かれたファインシュタイン上院議員は、弾劾の可能性については一切話さず「トランプ大統領は、しっかり学べばという条件が付くが、良い大統領になるのではないか。そして4年の任期を務めるのではないか」と答えています。
ダイアンファインシュタイン上院議員(民主)

  • 民主党支持者が多く
  • とてもリベラルで
  • 反トランプが多数派のサンフランシスコで
  • 民主党重鎮の
  • サンフランシスコに地盤をもつファインシュタイン上院議員が
トランプを擁護するというのはかなり異例なことではないでしょうか。つい2日前までサンフランシスコおよび対岸のバークレーでリベラルによる大規模なデモがあったばかりなのに、です。

Wikipediaによれば同上院議員は2012年選挙で67%の得票率という米国上院議員選挙での記録を持っているそうです。そんな彼女の支持率はUC Berkeleyの2017年7月調査によれば50%以下に低下しており、特に無党派層からの反発が強いとのことです。

今回のトランプ擁護ともとれる発言は都市部のリベラル層からの反発を招くのは必至でしょうが、それでも敢えて発言した裏には都市部のリベラルよりも、保守寄りの無党派層に頼ったほうがマシ、という判断があると思われます。


ナンシーペローシ下院議員による「左派も悪い」発言

ファインシュタイン上院議員がトランプ擁護発言をした29日、同じくサンフランシスコに地盤をもつ民主党重鎮のナンシーペローシ下院議員もメディアを驚かせる発表を行いました。週末にバークレーで起きたAntifaによる暴動をかなり強い口調で非難したのです。ワシントンポスト紙によれば、これは「民主党リーダーによるかつてないレベルの左派批判」とのことであり、実質的にはシャーロッツビルで起きたAlt-Rightによるテロ殺人の後にトランプ大統領がコメントした「どちらも悪い」発言の追認とも取れましょう。
ナンシーペローシ下院議員(民主)

当然民主党内やリベラル層からは反感を買っており、すでに来年の中間選挙で同じ民主党から立候補予定のStephen Jaffe氏は強い口調でペローシ議員を非難しております。

「ナンシーペローシはAntifaの非難はできるけどトランプ大統領の弾劾はできねーじゃねーか」みたいな感じで名指しでペローシ議員を批判してますね。ペローシ氏に「右寄り」というレッテルを貼って来年の中間選挙までに人気を下げようという意図が見え見えです。

こうしたペローシ下しの声がかかるのが確実だったのに、リベラル中のリベラルたるナンシーペローシ議員が敢えてAntifaを名指し批判した(=トランプ大統領の「どっちも悪い」発言追認)のは、やはり中間選挙へ向けてのなんらかの計算があると思って良いでしょう。


超党派6州知事連合による「トランプケア代案」の提案

まだまだあります。難航している「トランプケア」の代案を6州の知事が合同で提案した、という話です。それも共和党・民主党の協業による提案です。原案は読んでいないので記事を通した推定しか書けませんが

  • 医療保険加入義務付けは存続
  • ただしオバマケアのままでは保険制度が破たんするのも確実
  • 重要なのは若くて健康な加入者を増やすこと
あたりが骨子となっているようです。記事にある
 a temporary stability fund that states could tap to reduce premiums and limit losses

「掛け金を下げ、赤字を抑える一時的なファンド」という表現が多くを語っています。今のままだと加入者の掛け金上昇と保険制度の赤字増加が継続する(すなわち破たんする)という認識を共和党だけでなく民主党側も共有したというのはとても大きなポイントだと思うのです。トランプ大統領が選挙戦の頃から叫んでいた「オバマケアは終わっている」という主張が正しかった、ということを一部ではあるけれど、民主党側も認めているわけですから。
代案提唱者の一人、John Kasichオハイオ州知事(共和)

代案提唱者の一人、John Hickenlooperコロラド州知事(民主)

反トランプ路線では中間選挙に勝てない?

The Hillは、民主党が政治資金集めに苦戦していることを伝えています。今年前半の寄付金は共和党の7500万ドルに対し、民主党は半分程度の3800万ドル。富裕層はもともと共和党寄りですが、大きく差をつけたのは小口の寄付とのこと。一口$200以下の小口寄付で

  • 共和党は3300万ドル
  • 民主党は2200万ドル

この募金状況がただちに両党の支持率につながるわけではないですが、小口寄付の不振は民主党議員には相当効いているのではないでしょうか。いくらCNNがトランプ支持率低下を報道しようが、世のインテリ層がトランプをバカにしようが、現実は「トランプ路線は支持されている」「反トランプ路線は支持されてない」わけで、それを肌で感じとった民主党議員たちが現実路線を採用するのはごく自然な流れと言えましょう。




2017年8月31日木曜日

米国IT求人の片隅を覗いてみる...

この投稿、本当はQiitaに出したかったのですがなぜかQiita側が受け付けてくれないのでやむを得ず本ブログに保存しておきます。


先日とあるところで「アメリカにおけるAgile開発ってどれくらい浸透しているの? ペアプログラミングとか本当にやってるの? 一人で設計から開発からテストまでこなすって本当?」等などの質問を受けたのでちょっと調べてみました。



これはバンクオブアメリカの求人広告で、勤務先はニュージャージー州。Pegaを使ったワークフロー処理関係の開発と思われますが

  • ユーザーと共に要求定義の見直しを行い
  • スケールする高品質のシステムの設計と開発を行い
  • 品質保証や受け入れテストにおいてユーザの支援を行い
  • 5年以上の.NETもしくは他のオブジェクト指向言語の開発経験があり
  • Pega Roboticsでのワークフロー自動化開発経験があり
  • マイクロソフトOfficeのオートメーション開発の経験があり
  • オブジェクト指向設計パターンのしっかりした知識があり
  • 再利用性、テストのしやすさ、スケールしやすさ、保守のしやすさなどを考慮したアーキテクチャを実現できる能力があり
  • モデリングツールを使いこなせて
  • TDD/BDD、リファクタリング、テスト自動化フレームワーク、継続的統合、継続的デリバリの経験があり
  • Gitなどを使ったリリースマネージメントの経験があり
  • ペアプロや日々のスタンドアップミーティングなど、Agile開発に明るく
  • これまで働いてきた分野での問題領域に関する知識を持っていて
  • できれば...
  • Functional Programmingの経験があり
  • 分散システム開発の経験があり
  • Angularなどを使ったWebフレームワークでの開発経験や、RESTfulサーバの開発経験があり
  • 銀行系システムの経験があることが望ましい


こういう技術者をバンカメクラスの金融機関が直接雇用してバリバリ開発を進めてしまう、というのが米国のIT現場の姿の一端でしょうね。SI業者へのアウトソースも存在しますが、開発速度や柔軟性が求められる分野は圧倒的に内製なんですね。

ちなみに気になる給料ですがこれはGlassdoorから参考値を探せます。

 おそらく初年度は10万ドルくらいではないかと。間接コストを含めるとバンカメ側の予算はこの二倍かそれ以上かかっているのではないかと思われますが、それでも総合的に見れば「安い」からバンカメはアウトソースしないのでしょう。

1999年公開の映画「Office Space」では米国にもシステムインテグレータ的な会社が残っていました。要求定義する人と開発する人とテストする人は別だった時代。

あれから15年ちょっと経過。


アメリカのIT産業は様変わりしたと言って良いでしょう。

2017年8月7日月曜日

オバマケアは崩壊しているか?

トランプ政権=オバマ前大統領が実現した国民皆保険制度(オバマケア)を奪い取る悪の政権、みたいな報道が目立つわけですが実際のところどうなのよ? という気持ちで調べてみました。
Source: https://lysistrata.commons.gc.cuny.edu/2017/04/19/obama-vs-trump-important-qualities-of-a-u-s-president/

まずオバマケアのおさらいです。

日本の保険が社会保険と国民健康保険に分かれているように、米国でも「企業が従業員に福利厚生の一環として医療保険を提供する」場合と、「個人や世帯が医療保険を申し込む」場合とに分けられます。

この後者の「個人や世帯が医療保険を申し込む」際に、掛け金や通院・処方薬の自己負担分を国や州が補助しますよ、というのがAffordable Care Act(ACA: 通称オバマケア)です。補助金を出すのだから各世帯必ず加入してくださいね加入しないとペナルティ(増税)がかかりますよ、という仕組みです。政府はhealthcare.govというサイトを用意して、加入を推進してきました。


では実際にオバマケアで各世帯はどれくらいの負担が発生するのでしょう?

この算出がなかなか難しい。というか、面倒くさい、わかりにくい。色々な条件から掛け金や、通院・処方薬の自己負担が算出されるのです。

まず医療保険を管轄するのは連邦政府ではなく州ですから、州ごとに条件は異なります。ここではカリフォルニア州を前提に話を進めます。その上で、以下のような条件を加味する必要があります。

  1. 保険でカバーされる範囲
  2. 州からの補填があるか否か
  3. カリフォルニア州のどこに住んでいるか
  4. 年齢
  5. 喫煙者か否か

1は通院や処方薬の自己負担を決める要素です。掛け金が安い保険は、総じて通院や処方薬の自己負担額が大きくなります。例えば「一回の通院あたり500ドルまでは自己負担。それを超える部分は4割自己負担。処方薬は年間500ドルまでは保険会社が負担し、それ以上は自己負担」みたいな感じになります。

これだと低所得世帯はとても苦しくなるので、掛け金や通院・処方薬の自己負担分を国や州が補填しますよ、というのが2です。低所得世帯に厚くなります。

3は詳細不明ですが、居住地により掛け金や補填の枠が決まっているようです。

4と5は自明で若い人や非喫煙者は総じて負担が軽く、年寄りや喫煙者はリスクが高い分掛け金も上がる、ということです。

これだけの要素を網羅的に調べるのは苦痛ですのである程度条件を絞ります。
  • モデルケースA: Fresno(郵便番号93740)に在住する世帯年収5万ドルの家族。2017年で夫45、嫁35、子供8歳と5歳。
  • モデルケースB: San Francisco(郵便番号94108)に在住する世帯年収95000ドルの家族。2017年で夫45、嫁35、子供なし。
いずれも喫煙せず、妊娠はしてないという前提にします。なお、世帯年収はその地域の中間値としました。ソースはこちら
Fresnoは赤い印のあたり。San Franciscoはその左上のほう
カリフォルニア州の場合、Covered Californiaという組織が保険商品を選ぶためのサービスを提供しています。こちらのリンクからアクセスできます。まず、両モデルケースが2017年にオバマケアで支払う掛け金を算出してみます。

モデルケースAは、世帯所得が低いのでオバマケアとは別のMedi-Calというカリフォルニア州が提供する医療保険制度に申し込むことが可能ですが、敢えてオバマケアを選ぶこともできます。その場合、掛け金は一番安いもので月額たったの$4。すばらしい! 一番高いもので月額$1250.20となります。いずれも国や州から毎月$776の補助金を受け取った後の金額です。

月額$4~$1250と幅が広いですが、$4ではどのようなベネフィットが得られるかというと...

  • 指定された病院でしか保険が適用されない
  • 一家族当たり年間6300ドルまでの医療費は自腹
  • 世帯当たり年間12600ドルまでの医療費は自腹
  • 一家族当たり年間500ドルまでの処方薬は自腹
  • 世帯当たり年間1000ドルまでの処方薬は自腹
ちょっとわかりにくいですが、年間$48の掛け金($4x12)を払うことで、世帯当たり年間$13600を超える医療費については保険会社が全額負担する、というわけです。年間$13600までは自腹となります。

ではモデルケースBはどうなるでしょうか。世帯所得があがるのでMedi-Calという選択肢はありませんし、政府や州からの補助もでません。結果、月額掛け金は$654.28~$1703.2という幅となります。モデルケースAと違ってこちらは子供なしでこの金額です。では、一番安い月額$654.28の掛け金でどのようなベネフィットが得られるかというと...

なんと! モデルケースAとまったく同じなのですね。すなわち

  • 指定された病院でしか保険が適用されない
  • 一家族当たり年間6300ドルまでの医療費は自腹
  • 世帯当たり年間12600ドルまでの医療費は自腹
  • 一家族当たり年間500ドルまでの処方薬は自腹
  • 世帯当たり年間1000ドルまでの処方薬は自腹
すなわち、年間$7851.36(654.28x12)の掛け金を払った上に、年間$13600までの医療費は自腹。病気もケガもしなければ年間出費は$7851で済みますが、重い病気やケガを負ったら年間$21000くらいまでの出費を覚悟する必要があります。その金額を超えて初めて保険会社が負担してくれるわけです。

自己負担額を減らしたければ毎月の掛け金を上げればよいのですが、これもやはり高くつきます。例えばBluecrossの月額$1603の保険に入れば、医療費の自己負担はゼロとなります。また病院や医師の限定もなくなります。ただし病気やケガがなくても年間$19236におよぶ掛け金が飛んでいきます。

カリフォルニア州の場合、世帯収入$95000だと以下のように課税されます。

  • 連邦所得税...17.78%
  • 州所得税...6.35%
  • 社会保障税...6.2%
  • Medicare Tax...1.45%
だいたいオバマケア以外で32%ほど持っていかれます。ここに年間で$7851(8.2%)~$19236(20%)の医療保険掛け金を乗せようというのですから、「そこそこ軌道に乗っている」自営業や個人事業主には実に重い負担となります。このあたりを整理すると、下の図のようになります。
年収5万ドル世帯が最も安い保険を選んだ場合
年収95000ドル世帯が最も安い保険を選んだ場合


年収95000ドル世帯が最も高い保険を選んだ場合
掛け金の安い保険は医療費の自己負担が大きいですが、自己負担を超える分は保険会社がカバーしてくれるので「医療破産」はなくなります。それをオバマケアの最大の利点と称賛することには私は異論を唱えません。

ただしそのためのコストは中高所得世帯に重くのしかかっていることに注意するべきです。所得移転の一環と捉える人もいるかもしれませんが、そもそもの医療費を抑える努力をせずにこのような政策をとれば、遅かれ早かれ制度そのものが崩壊します。

実際、カリフォルニア州のオバマケア掛け金は去年が13%値上げ今年は12.5%値上げです。年間12.5%の値上げペースが続くということは5年で掛け金は倍増するということになります。

トランプケア(敢えてこの呼び方にします)になると、医療保険に加入できない世帯が大量に発生する、という観測がありますが、実はオバマケアのままでも加入をあきらめる世帯は発生しますし、すでにそうなりつつあります。

2016年、まだオバマ政権だった時ですら160万人がオバマケア加入を断念していたわけです。この傾向は続いており、2017年7月の時点では200万人を超えたという推定もあります。無保険による増税ペナルティを受けてでも、オバマケアに加入しない世帯が増えているわけです。このしわ寄せは...オバマケアの掛け金増加で中高所得層にさらに跳ね返ってきます。悪循環。

トランプ政権はもちろん、共和党・民主党は党派を超えてこの問題に取り組むべきだと私は考えます。トランプ政権や共和党のプレゼンテーションが下手なのも問題ですが、オバマケア見直しを鬼畜の仕業のように非難するリベラルな皆さんは、上記数字をよく読んで「オバマケアは持続不能な政策」であることを認識してくださいな。


2017年7月28日金曜日

犯罪を犯した不法移民は本国に退去させるべきだが、サンクチュアリシティ(聖域都市)は支持する! え?

大統領選の争点となった不法移民対策。トランプ大統領はサンクチュアリシティ(聖域都市)に対する締め付けを強化しようとしているわけですが、世論は大反対、というような論調で日本では報道されているのではないでしょうか。アメリカでもCNNばかり見ているとそういう感じになります。が、現実は報道とはずいぶん異なるようです。
  1. 米国民は不法移民に厳しく、犯罪を犯した不法移民については本国に送還すべきと本音では思っている人が過半数(おそらく7割以上)存在する。
  2. 一方で「サンクチュアリシティ」という名前を神聖な何かと勘違いして、サンクチュアリシティの廃止には反対する、という人たちも相当数存在する。特にそれはリベラル(民主党)に顕著である。
サンクチュアリシティという呼び方に拘らず、犯罪を犯した不法移民にはきちんと法律を適用し、米国民の安全を確保するということを正しく説明すれば、トランプ大統領の政策は幅広く受け入れられるはずです。以下、詳しく説明していきます。

UC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)のIGS(Institute of Government Study)が定期的に行う調査で、サンクチュアリシティに対するカリフォルニア州有権者の考えをつかむことができます。

2017年3月版では

  • サンクチュアリシティに賛同=56%
    • 民主党支持者での賛同率=74%
    • 共和党支持者での賛同率=20%
  • サンクチュアリシティに反対=44%
    • 民主党支持者での反対率=26%
    • 共和党支持者での反対率=80%
となっており、党派性がくっきりと表れています。サンクチュアリシティを支持する民主党vs反対する共和党、ですね。 ところが...

同じIGSによる2015年9月の調査では...

  • サンクチュアリシティに賛同=24.3%
    • 民主党支持者での賛同率=27.1%
    • 共和党支持者での賛同率=18.0%
  • サンクチュアリシティに反対=75.7%
    • 民主党支持者での反対率=72.9%
    • 共和党支持者での反対率=82%
2年半前の調査では民主党員ですら7割がサンクチュアリシティに反対していたのです。

では民主党支持者はこの2年半で移民に対する考えが変わったのでしょうか? そういう人もいるかもしれませんが、サンクチュアリシティという言葉の響きがかなりの影響を与えている可能性があります。

前述のIGSアンケートの質問内容を見てみますと

2015年

Do you believe that local authorities should be able to ignore a federal request to hold an illegal immigrant who has been detained?
(地方自治体や警察は、連邦機関からの不法移民引き渡し要請を無視すべきと思いますか?)

2017年
Do you favor or oppose communities in California declaring themselves sanctuary cities and instructing local police and government employees not to automatically turn undocumented immigrants over to federal authorities for possible deportation to their home country?
(連邦政府から母国への強制送還の可能性がある不法移民引き渡しを拒絶するサンクチュアリシティを支持しますか?反対しますか?)

どちらも質問内容は同じです。すなわち、強制退去を実際に判断し実行する連邦政府機関(ICE等)に対して、地方自治体や所轄警察は協力すべきか否かを問うているわけです。そこに「サンクチュアリシティ」という言葉を入れただけでリベラルな皆さんが反対に回ったということですね。

「いや、2年半のうちに有権者の考えが変わったんだ」という見方もあるかもしれません。

残念ながら「サンクチュアリシティ」という言葉を使わなければ米国民は犯罪を犯した不法移民を強制送還すべきだと考えている、というのは今年ハーバード大学が行った別の調査からもうかがえます。2017年2月に実施されたHarris Pollの結果は http://caps.gov.harvard.edu/files/caps/files/caps-harris_poll.pptx からダウンロードできます。要PowerPoint。このパワポ資料の33ページに

という調査結果がでています。「サンクチュアリシティ」という言葉は使っていませんが、犯罪を犯した不法移民を自治体や所轄警察はとっとと政府の移民管轄組織に差し出すべきだ、と80%の人たちが回答しているわけです。

トランプが主張する政策は割とあっさりと受け入れられるのかもしれません。

2017年7月24日月曜日

トランプ政権になってから米国ビザ発行は厳しくなったか?

今日、Twitterでこんなのを見かけました。



で、私の頭には素朴な疑問が湧いてきました。「トランプ政権になってからアメリカのビザ発行は厳しくなったのだろうか?」

とはいうものの、トランプ政権は発足してから半年ちょっと。まだ統計情報は公開されていません。あるのはオバマ政権時代のものだけです。米国国務省のWebサイトで簡単に見つかりました。年次毎・ビザ区分別の発行許可件数/発行拒否件数です。全部取り上げると膨大な量になるので、上記Twitterで話題になっていた就学ビザ(F1)に限定します。

年次 発行 拒否 拒否率
2013 534320 160168 23.1%
2014 595569 173062 22.5%
2015 644233 212018 24.8%
2016 471728 246614 34.3%

すべての国からのF1ビザに対する発行/拒否の割合は、2016年で34.3%。3人に1名は拒否されてるのですね。ということで、トランプ政権でなかったらどうなっていたか、という仮定の話には「1/3の確率で拒否されたと思うよ」と答えればよいわけです。

(追記)
Twitterで流れていた留学ビザ却下の原因は

  • 旦那が永住権(=移民ビザ)持ってアメリカにいる
  • にもかかわらず、奥さんが就学ビザ(=非移民ビザ)での渡米を申請
ではないかと推察しております。本来なら「永住権保持者の配偶者としての滞在許可」を申請するべきだったのではないかと。



2011年7月15日金曜日

アメリカの鰻

食文化は国や地域によって変化する。それは材料の制約によってもたらされることもあるだろうし、宗教や信仰による影響かもしれない。元々の土地では考えられもしなかった新鮮な発想が取り込まれ、別次元の料理が生まれることもあろう。

だがアメリカの鰻にはそんなことはなかった。以下、Togetterから引用。