そして、この中間選挙に向けた動きはすでに始まっており、トランプ大統領に追い風となるのでは、という与太話を書いてみたいと思います。
ダイアンファインシュタイン上院議員による「トランプ擁護」
一つ目は、サンフランシスコに地盤を持つ民主党重鎮、ダイアンファインシュタイン上院議員の動きです。(彼女はかつてサンフランシスコ市長を務めたこともあるそうです) 29日に地元サンフランシスコで開かれた公開インタビューで「トランプ大統領の弾劾はあるのか?」と聞かれたファインシュタイン上院議員は、弾劾の可能性については一切話さず「トランプ大統領は、しっかり学べばという条件が付くが、良い大統領になるのではないか。そして4年の任期を務めるのではないか」と答えています。
ダイアンファインシュタイン上院議員(民主) |
- 民主党支持者が多く
- とてもリベラルで
- 反トランプが多数派のサンフランシスコで
- 民主党重鎮の
- サンフランシスコに地盤をもつファインシュタイン上院議員が
Wikipediaによれば同上院議員は2012年選挙で67%の得票率という米国上院議員選挙での記録を持っているそうです。そんな彼女の支持率はUC Berkeleyの2017年7月調査によれば50%以下に低下しており、特に無党派層からの反発が強いとのことです。
今回のトランプ擁護ともとれる発言は都市部のリベラル層からの反発を招くのは必至でしょうが、それでも敢えて発言した裏には都市部のリベラルよりも、保守寄りの無党派層に頼ったほうがマシ、という判断があると思われます。
ナンシーペローシ下院議員による「左派も悪い」発言
ファインシュタイン上院議員がトランプ擁護発言をした29日、同じくサンフランシスコに地盤をもつ民主党重鎮のナンシーペローシ下院議員もメディアを驚かせる発表を行いました。週末にバークレーで起きたAntifaによる暴動をかなり強い口調で非難したのです。ワシントンポスト紙によれば、これは「民主党リーダーによるかつてないレベルの左派批判」とのことであり、実質的にはシャーロッツビルで起きたAlt-Rightによるテロ殺人の後にトランプ大統領がコメントした「どちらも悪い」発言の追認とも取れましょう。ナンシーペローシ下院議員(民主) |
当然民主党内やリベラル層からは反感を買っており、すでに来年の中間選挙で同じ民主党から立候補予定のStephen Jaffe氏は強い口調でペローシ議員を非難しております。
「ナンシーペローシはAntifaの非難はできるけどトランプ大統領の弾劾はできねーじゃねーか」みたいな感じで名指しでペローシ議員を批判してますね。ペローシ氏に「右寄り」というレッテルを貼って来年の中間選挙までに人気を下げようという意図が見え見えです。Nancy Pelosi can condemn anti-facists, but can't impeach Trump. #CA12 pic.twitter.com/nPBlMTO1gP— Jaffe 🌹 vs Pelosi (@Jaffe4Congress) 2017年8月30日
こうしたペローシ下しの声がかかるのが確実だったのに、リベラル中のリベラルたるナンシーペローシ議員が敢えてAntifaを名指し批判した(=トランプ大統領の「どっちも悪い」発言追認)のは、やはり中間選挙へ向けてのなんらかの計算があると思って良いでしょう。
超党派6州知事連合による「トランプケア代案」の提案
まだまだあります。難航している「トランプケア」の代案を6州の知事が合同で提案した、という話です。それも共和党・民主党の協業による提案です。原案は読んでいないので記事を通した推定しか書けませんが- 医療保険加入義務付けは存続
- ただしオバマケアのままでは保険制度が破たんするのも確実
- 重要なのは若くて健康な加入者を増やすこと
あたりが骨子となっているようです。記事にある
a temporary stability fund that states could tap to reduce premiums and limit losses
「掛け金を下げ、赤字を抑える一時的なファンド」という表現が多くを語っています。今のままだと加入者の掛け金上昇と保険制度の赤字増加が継続する(すなわち破たんする)という認識を共和党だけでなく民主党側も共有したというのはとても大きなポイントだと思うのです。トランプ大統領が選挙戦の頃から叫んでいた「オバマケアは終わっている」という主張が正しかった、ということを一部ではあるけれど、民主党側も認めているわけですから。
代案提唱者の一人、John Kasichオハイオ州知事(共和) |
反トランプ路線では中間選挙に勝てない?
The Hillは、民主党が政治資金集めに苦戦していることを伝えています。今年前半の寄付金は共和党の7500万ドルに対し、民主党は半分程度の3800万ドル。富裕層はもともと共和党寄りですが、大きく差をつけたのは小口の寄付とのこと。一口$200以下の小口寄付で
- 共和党は3300万ドル
- 民主党は2200万ドル
この募金状況がただちに両党の支持率につながるわけではないですが、小口寄付の不振は民主党議員には相当効いているのではないでしょうか。いくらCNNがトランプ支持率低下を報道しようが、世のインテリ層がトランプをバカにしようが、現実は「トランプ路線は支持されている」「反トランプ路線は支持されてない」わけで、それを肌で感じとった民主党議員たちが現実路線を採用するのはごく自然な流れと言えましょう。
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