2011年4月26日火曜日

堀江氏収監に思う

犯罪行為よりもその動機やら反省度合いやらをみて量刑が決まるみたいね。それが嫌なら、こんな裁判制度にするのがよかろう。
(判) AはなぜBの一万円を必要としたのか?
(A) 貧乏であり、失業したからです。
(判) 共に客観的理由に過ぎず、規定に従って与えられるべき刑から五十点控除する。盗んだ動機は?
(A) Bが私の妻を公衆の面前でからかったからです。
(判) よろしい。「侮辱された感じ」マイナス八十点、「嫉妬」中第十二項の場合マイナス二十点、合計百点を控除する。さてBが一万円の盗難によっていかなる精神的損失をうけたのかの合理的測定と、Bの経済状態との比例によって算出された一万円の測定とで、合計プラス千二百点である。これから、百五十点を控除すると、千五十点である。千五十点は禁固一ヶ月。
(A) へい、おそれいりやした。
このようにして裁判手続は簡易化され、また場合によっては、単なる精神的損害を加えただけで点数合計によって三万点の死刑に処せられることにもなる。人が肉体の死を以て精神上の殺人を償うことは、精神上の死によって肉体上の殺人を償うことと同様に、当を得たことである。誠は死刑廃止を笑うべき小児病的意見と考えた。
三島由紀夫「青の時代」より抜粋。

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