で、本日のWSJにはFedの量的緩和政策を批判する記事が掲載されていた。
WSJ: Where Are the Bond Vigilantes?
以下、例によって適当な要約。
かつては米国国債は政策に機敏に反応して、政府の野放図な歳出を抑える仕組みになっていたのだそうな。クリントン時代に医療保険制度改革が提案されると長期国債の金利は急上昇。(10Yで8%!) 結果、クリントンは保険制度改革を断念する。そして、福祉関係の歳出に上限を設ける政策が決まると、反対に金利は下落。これがクリントン時代後半の景気拡大を後押しした、と。
時は流れて2010年。オバマ政権が(財政上かなり問題ある)医療保険制度改革を提案しても長期金利はさほど上昇せず。国債金利が政策に反応しなくなっている。この理由は米国国債の民間保有率が下がり、各国中銀やFedの保有分が増えているから。他国の中銀は米国国債の金利よりも自国通貨が対米ドルで上昇するのを嫌い、ドルを買うことになる。結果として、低金利の国債も引き受けざるを得ない、と。
特に新興国ではこうしたホットマネーの流入とコモディティ価格上昇でバブル状態になっていたのが、この二ヶ月間のドル高・コモディティ価格下落で明らかになったわけで。そしてその原因はやっぱりFedの超金融緩和に帰結する、と。
記事ではさらに長期的緩和政策のもたらす害悪を3つ挙げている。
- 景気後退時の経済刺激ができなくなる。かつては金融緩和は「一時的」と決まっていた。だからこそFedが金利を下げると企業は一斉にその利益を得るべく一斉に借入をしたり、投資をしたりしたわけだが、万年低金利で張り付いたままだとそのような行動を取らなくなる。
- 2つ目は日本でも見られた貸し渋り・資金ブタ積み。これは特に中小企業を直撃し、雇用が回復しない要因になっている。
- 確定給付型年金システムの崩壊。カリフォルニア州年金は7.5%でブレークイーブン。国債金利が大幅に下がると他の高リスク手段で運用せざるを得ない。
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