2011年6月20日月曜日

デマ発生・伝達・増幅源を検知するためのネブラスカ原発

米国中西部では大量の雪解け水が氾濫し、あちこちで洪水の被害がおきている。そしてネブラスカ州では川沿いに建設された原発二基が水に浸かりそうな状況になっているわけだが...

6月17日ロイター記事によれば「燃料交換のために4月9日から停止していたFort Calhoun原発の周辺は水位があがっているが、原発自体は水には浸かっていない」とのこと。そしてもう一基のCooper原発は「周辺水位上昇のため、運転停止をする模様」と地元紙が伝えている。

と、明らかに報道はなされているのだがネブラスカ 原発 報道管制で検索すると...10000件以上ひっかかる。

Google Realtimeで探すと、日本語ではどうやらこの記事が発端らしい。だが元記事は英語だというので探してみると

あたりが怪しい。前者は「ロシア連邦原子力局を情報源とした」「ネブラスカ原発は深刻な危機にあり、オバマ政権は報道規制を敷いている」という「パキスタンのサイト」であり、後者はそのパキスタン記事を引用したDaily Paulという「Ron Paulとは無関係」といいつつRon Paulの写真を掲載した胡散臭いサイト。

いいですか。「オバマが報道規制している」と「ロシアの原発機関が」「パキスタン紙にリークする」わけですよ。こういうのをころっと信じてしまうあたりに私はイタいものを感じてしまうのだ。

またパキスタンの記事は「この事故はINESでLevel 4」と明記しているが、当のネブラスカ原発側はLevel 4いうても、INESのLevel 4ちゃうでと公式に発表している。(NRCが規定する四段階の危機レベルの一番軽いのがLevel 4) 報道規制していたら原発当局がこんな発表するわけねーだろ、と思うのだけど「わーたいへんだーレベル4だー」と騒ぎたい人がいるわけね。

そして最後に放射能漏れの話。おそらくこの記事が発端と思われるが、ネブラスカ原発から放射能漏れが起きている、という話が生まれている。幸い(?)当該ブログ記事引用したという話の三番目が機械翻訳サイトだったので、その誤訳の証拠が残っていた。

The fire occurred on June 7th, and knocked out cooling for approximately 90 minutes. After 88 hours, the cooling pool would boil dry and highly radioactive materials would be exposed.火事が6月7日に起こって、およそ90分の間冷却をノックアウトしました。88時間後に、冷却の池は沸騰してなくなります、そして、非常に放射性材料は露出します。
→7日に起きた火災で冷却系が90分停止したけど、これが88時間続いたら燃料棒露出があったかもね、というのが元記事なのだけど機械翻訳がアホすぎるし、それを検証せずに記事にしちゃうブログ書きも酷過ぎる

一旦、日本語でこういう情報がでてきたら最後だ。パニックをあおって、PVを稼ぎまくる方法に紹介されているように、どんどん話は膨らみ、デマは広がっていく。「英語記事へのリンクや英語動画が埋めこまれていれば、その内容はどうでもいいんだよ!」みたいな。

ということで、まとめると...
  • ネブラスカ原発がINES Level 4だ! 
  • ネブラスカ原発に関して米国が報道規制をしている!
  • ネブラスカ原発から放射能が漏れている!
と主張する記事やTweetを流す人は全部疑ってかかろう。


そういう電波系Tweetを濃縮したリスト→http://twitter.com/#!/list/masayang/stfu

脱・原発は是非進めるべきだと思っているけど、そのために恐怖・不安を煽るような活動はどこかで脱・原発の流れを遮ることになるのではないか。


追記: 強烈な電波発生源発見。ここも例の機械翻訳を引用して「メルトダウン」という結論に持っていってるし...

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