2011年8月11日木曜日

なぜTPSは日本から生まれたのにAgile開発は米国発なのか?

今回のAgile2011には「文化」というお題目で参加している。それは国民性かもしれないし、企業文化かもしれないし、開発チームの雰囲気かもしれないし、個人の性格かもしれない。だけど、その「文化」がAgile(に限らないけど)開発の成否に影響を及ぼしているのではないか、というのが今回自分が持ち込んだ仮説であり、実際「文化」を取り上げた発表がいくつか散見される。

「文化」を数値的に測る尺度は何種類か発表されているようだけど、これらのいずれを使っても日本の文化ってのは「Agile」にはあまり合ってないのですね。むしろ、米国やカナダなんかは「最初からAgileに向いている」文化に見える。

だからといって「ああ、では日本人にはAgileは無理だ」などという結論に飛ぶのは早い。なぜなら、Agile開発はTPS(Toyota Production Systems)あたりが「ご先祖」とも言える思想なわけだし、Agile開発を産んで育てたアメリカ自身、製造業は古びた大量生産方式から脱却できないでいたわけで。

整理すると

  • 日本
    • 製造業はAgile的思想を生み出し、受け入れた
    • ソフトウェアは旧態依然
  • 米国
    • 製造業は旧態依然で、空洞化も進行した
    • ソフトウェアはAgile開発を生み出し、受け入れた
なんてところかな。では、やはり文化と開発手法は関係ないのか??

ヒントは昨日聞いた黒岩さんの講演(Basic Principle of the TPS and its Practical Ideas for Agile Software Process)にあるのかもしれない。トヨタが生産方式を見直すきっかけになったのは1950年代に発生した経営危機。いわゆる「ケツに火がついた状態」になると、人々は「文化の壁」を破って真剣に物事を考えるのかもしれない。


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